択一式勉強法講座
択一式問題は5肢ある問題の内、正しい記述あるいは間違った記述をしている肢を一つ選ぶ形式です。
平成20年度労働基準法・労働安全衛生法の択一式問題を見てみましょう。労働基準法及び労働安全衛生法
- 〔問 1〕労働基準法上の総則及び労働契約に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- A 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
- B 使用者は、労働契約の不履行について、労働者に対し損害賠償を請求してはならない。
- C 何人も、法律に基づいて許される場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。
- D 使用者は、前借金と賃金とを相殺してはならない。
- E 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性差別的な取扱いをしてはならない。
択一式は全部で70問ありますが、難易度で分類すると【難問】10%【応用】40%【基本】50%と 言われています。
10%の難問は捨てましょう!難問は施行規則や施行令、通達などから出題されたりしますが、細かい部分を追いかけていてはきりがありません。サイコロ振って当たればラッキーくらいに考えてください。
択一式の合格ラインは一応44点とされていますが、ここでは安全をみて45点を目標とします。そうすると、応用問題40%(=28問)、基本問題50%(=35問)の合計で45点を取らないといけません。例えば基本問題が25点しか取れなかったとすると(正答率約71%)残りの20点は応用問題で取らないといけません。応用問題28問中20問(正答率約71%)が取れるなら基本問題はもっと取れるはずです。逆を言えば基本問題の正答率71%では択一式は撃沈です。
応用問題は正答率50%位と考えましょう。A〜Eのうち2つまでは絞れたけれど、どっちが正解かわからない場合、当たる確率は50%です。そうすると基本問題の正答率は何%以上ないとダメでしょうか?(45−28×0.5)/35≒0.886ですから、きりのいいところで90%以上ということになります。
簡単な基本問題を繰り返し解いて自分のものにしましょう。応用問題をものにするよりずっと楽です。問題集レベルでほぼ100%解答できるようにしてください。本試験では何が起きるかわかりません。緊張した中で普段の力を100%出すのは難しいものです。そのリスクを考えると問題集レベルでは全問正解できるようにしてください。
本試験と同じ形式の問題集はすぐ捨てましょう(別に捨てなくてもいいですが・・・)。過去問集も同じくです。項目別に並べ替えた問題集を絶対おすすめします。基本問題をものにするには自信を持って1問ずつ○か×を付けられるようになってください。その結果、答えが1つに絞られてくるというわけです。
できたら、難易度別の問題集がベストです。前項でも言いましたように、難問は切って捨てよう!ということなので、難易度別になっていればそのページを飛ばして次へ進むことができます。問題集に集まる問題は難易度の幅が広いですから掲載されるのは致し方ありません。勇気を持って難問は切り捨てましょう。
専用の解答用紙を作って○×を書き込むことをおすすめします。問題集にできなかった印などをつけると、それを元に考えてしまったりするので、問題集には何も書き込まない方が後々有効に使えます。日付も入れておくと、1回目できたのに2回目間違えたとか、解くたびに間違えたりあったりを繰り返すなどの症状がわかります。
問題集を5,6回以上していると頭の中だけで○×がすぐに浮かんできますが、最初のうちはやはり「書く」ことが大事です。書くことによって解答の決断力が養われると思います。
択一式試験の時間はご存じですか?昼の1時10分から4時40分までの3時間30分です。その時間内で70問を解かなくてはなりません。
しかし、単純に70で割れば1問にかけられる時間がでるというものではありません。問題文(H18年度)を解析してみると、問題文の長さ(文字数)でかなりのばらつきがあることが分かります。
本試験ではすべて読まなくては解答できないということはなく、Aを読んだだけでそれが正解だということもあるので、これから示す標準時間は演習問題をする際に目安として使ったらいいのではないかと思います。
各科目の文字数割合、1問(肢)当たりの時間数です。なお、1問(肢)当たりの時間数は見直し時間30分を引いた3時間(180分)で計算しています。
科 目 | 字数率 | 秒数/問 | 科 目 | 字数率 | 秒数/問 |
労働基準法 | 17.1% | 53秒 | 労働安全衛生法 | 6.3% | 45秒 |
労働者災害補償保険法 | 9.3% | 29秒 | 労働保険料徴収法 | 9.1% | 33秒 |
雇用保険法 | 8.5% | 26秒 | 労働一般常識 | 11.4% | 49秒 |
社会保険一般常識 | 5.1% | 22秒 | 健康保険法 | 9.2% | 20秒 |
厚生年金保険法 | 13.9% | 30秒 | 国民年金法 | 10.1% | 22秒 |
時間を区切らない問題演習を続けていると、1問にかける時間、1科目にかける時間が知らないうちに長くなってしまいます。本試験で時間が足りないというトラブルは日頃の問題演習の時間を考慮した取り組みにあります。
問題演習は記憶するために行うものですから、間違った問題はテキストへ戻って記憶間違いの修正や記憶の不確実なところをその場でなくしましょう。
何回も間違える箇所はノートに書き出し、いつも開いて記憶にとどめるようにすれば、確実に覚えることができると思います。間違えなくなったらそのノートから削除していけば、記憶の進捗が目に見えて自信につながるでしょう。
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資格試験はどれもそうだと思いますが、条文を丸暗記すれば合格できるというものではありません。試験に合格できる勉強をした者に勝利の女神が微笑むのです。しかし、資格学校へ通ったり通信教育で講師のアドバイスを受けたりすることのできる受験生とは違い、市販のテキストと問題集で独学する受験生はかなりのハンデがあります。受験テクニックと呼ばれる勉強の仕方や勉強をいかに効率よく行うかなどのノウハウが厳然と存在します。当サイトでは、知りうる限りのノウハウと試験情報を独学者に提供し、通学者や通信教育を受けている受験生とのハンデを埋める助力をしています。